メルハバン!4月からカイロに赴任しました運営専門員の山田です。

カイロは4年前まで3年間住んでいた馴染みのある街、これからカイロの情報をたくさんお届けしたいと思います。

本日は、国際交流基金の共催で行われました演劇のレポートです。

「光の領分」のアラビア語版と日本語版 

 カイロのダウンタウン、路上にテーブルとイスを並べた路上カフェでカイロっ子やたちがシーシャをくゆらせているゴミゴミとした路地裏の一角に、

エジプト現代芸術に触れることができるスペース「タウンハウスギャラリー」があります。

その中にある小劇場ラワバットで5月15日の夜、津島佑子さんの短編集「光の領分」をもとにエジプト人演出家が演出した演劇が上演されました。

 ガレージを改装して作られたラワバットは、100名も入ればいっぱいになってしまう小劇場で、学生時代通いつめた下北沢や新宿の小劇場を思い出しました。

今回の演劇は、カイロにもいらしたことがある津島さんの短編集を、エジプトのメリットという出版社がカイロ大学文学部准教授アフメド・ファトヒ氏による

アラビア語翻訳で2000年に出版し、(国際交流基金は出版助成という形でお手伝いさせていただきました。)

その本を演出家のシェリフ・ハムディ氏が国際交流基金の図書館で見つけて作品にしたもの。

夫から一方的に離婚を突きつけられた女性が、日当たりだけはよいアパートで暮らしながら、これからの生き方を模索するというストーリーですが、

女性の心の揺れを繊細に描く原作を、アレキサンドリアの新進気鋭の演出家シェリフ・ハムディ氏はどう表現するのでしょうか?

熱演する女優さん

 シンプルなセットの中、ほとんど主人公の女性のモノローグという一人芝居で、原作のエッセンスは大切にしつつ、見事にエジプトの話に置き換えていました。

離婚はエジプトでも問題になっており、人々の関心も高いのです。観客は芝居好きのカイロの若者たち、日本文化に興味がある人々、日本語学習者、日本人留学生と様々で、

“離婚した女性の一人暮らし”という設定や一人芝居に戸惑いつつも、熱心に観劇していました。

  芝居の後は、翻訳されたアフメド・ファトヒ氏と演出家のシェリフ・ハムディ氏、脚本家のオサマ・アルハワーリー氏の討論会があり、アフメド氏からは原作者の紹介や小説についての解説、

演出家と脚本家からはこの原作を題材に選んだ理由や、エジプトの設定に置き換える際のポイント等のお話がありました。

 観客からもたくさんの質問が寄せられ、討論会は大いに盛り上がりました。会場からは日本文化についてもっと知りたいという要望も寄せられ、また、エジプトの若き演劇人たちは

題材として日本文化に熱い視線を注いでいること、演劇愛好家たちも国境を越えた新しいコンセプトやスタイルの作品に期待していることなどを知り、大変刺激になりました。

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